『いぼ痔』の『日帰り手術』と『入院手術』

いぼ痔(痔核)とは?
『いぼ痔』の『日帰り手術』と『入院手術』

24時間WEB予約

寺田 俊明 Toshiaki Terada

寺田 俊明Toshiaki Terada

  • 理事長
  • 院長
  • 大腸肛門病センター長

寺田病院HP:
https://terada-hospital.or.jp/

患者さんにとって
『日帰り手術』=簡単
『入院手術』=大変
という印象があると思います。
その考え方自体に間違えはありません。
皮膚にできた小さなほくろを入院して切除します。なんて言われたら「えっ?そんな大変なの?」って思っちゃいますもんね。
ただ『いぼ痔(痔核)』の場合はどうでしょうか?
第2章①での『いぼ痔(痔核)』を氷山に例えた図を思い出してください
前にもお話ししたように『いぼ痔(痔核)』は内痔核から発生します。
症状が出るころには内外痔核となります。
つまり根本的に『いぼ痔(痔核)』を無くす→切除するとはどういうことでしょうか?
そう、氷山の塊(かたまり)ごと全部を取ると言うことですよね!
でも・・・氷山の塊(かたまり)ごと取るということは『いぼ痔(痔核)』でいうと
直腸下端部にできた内痔核の腫脹を切除するということですから、肛門の奥の方まで切除しなくてはいけません。そのためには肛門を締めている肛門の筋肉を弛緩(ゆるめる)させる必要があります。
→肛門を無意識に締めている筋肉(内肛門括約筋)を弛緩(緩める)させるには腰椎麻酔、もしくは硬膜外麻酔、全身麻酔により一時的に筋肉を麻痺させる必要があります。
そのような麻酔をかけた後は、安静、安全のために『入院』が必要となります。
逆に・・・『日帰り手術』は主に入院施設のないクリニックが多いと思います。つまり奥まで効かす麻酔を使用したときに入院していただく入院病床(ベッド)がない医療施設が、局所麻酔で切除できる範囲を切除する手術だということです。

つまり氷山の例えですと
『日帰り手術』で局所麻酔で切除できる範囲は

この部分だけ・・・・ということになるわけです。
では氷山の下の部分はどうするか?というと
『内痔核』部分はそのまま・・・・・
もしくは下の図のように氷山の下(内痔核)部分にALTA(ジオン®)注射をして固めるのです。
もちろんこの方法でもしばらくは脱肛も出血もおさまり、一時的に症状的には落ち着きます。

しかし、内痔核部分が大きな痔核の場合や、
注入した薬の効果が薄れてくると、と症状が再びおきてしまいます(再発)!
つまり・・・

ポイント!

『入院手術』と『日帰り手術』では同じ手術をしているのではありません!!
氷山の塊ごと(内外痔核すべて)切除する入院手術と浮かんでいる(外痔核)部分だけを取り、沈んでいる(内痔核)部分に硬療法をする方法では根治性(完全に治る)が全く違ってくるのです。

それでも・・・・『日帰り手術』は確かに入院しなくてもいい分、仕事や家庭に穴をあけることがないのでお気軽にできる感があります。
症状もごくごく軽度の方や、『定年になったらもう一度ちゃんとした手術やろう!』って思い、一時的に『日帰り手術』で良くしておくという考え方もありです!

旅行だって・・・・1,2日しか休みの取れない方が何も飛行機に乗って遠くの海外旅行に行かなくたって、日帰りで行って帰って来れる場所にだって感動はあります!。
つまり・・・『入院が良い』『日帰りが悪い』ということではなく、
『いぼ痔(痔核)』の程度によって根治性をどのくらい求めるのかの判断は、患者さん自身の考え方です。

仕事や家庭の環境(仕事を何日も休めない!、子供が小さい)によっては、根治性(完全に治す)にこだわらず、割り切って一時的な効果を期待して日帰り手術や短期入院で済ませておいて、なんとか時間稼ぎをすることも正解です。
長年患った大きな内外痔核の場合、また、なんとか時間が取れた!といった場合は2度目の手術をしなくて済むように、根治性を求め1回で治すのも正解なのです。
自分の置かれた環境を交え、肛門科の専門の先生とよく相談して方針を決めていけばいいのではないでしょうか?

仕事や家庭の環境

仕事や家庭の環境