治療の最終ゴール
さて・・・・自分が『いぼ痔(痔核)』と気づいてしまった・・・
もしくは病院の肛門鏡検査で『いぼ痔がありますよ』って気づかされてしまったあとはどうしましょう?
基本的には 自分がどのくらい『いぼ痔(痔核)』の症状が嫌なのか?という点につきます。医師や他人から言われるまでもなく、治したいくらい嫌ならば治せばいいのです。(痔で命まで失わないですから・・・『いぼ痔(痔核)』を放っておいても『がん』にはなりません。
ただし、【治す】という意味合いを考えたときに・・・
数十年かけて作ってしまった『いぼ痔(痔核)』をいくらその時から気を付けてもお薬をつかってもなくなるわけではありません!
先ほど話したように足の裏のかかとは硬いのがあたりまえで、痛くなったからと言って赤ちゃんの足裏みたいに“ぷにぷに”には戻らないのですから・・・
つまり
ポイント!
① 症状がなくなる(もしくは軽度になる)=治った
と考えるのか
② 『いぼ痔』がなくなる=治った
と考えることで 治療の最終ゴールは異なってくるのです
症状がなくなる(もしくは軽度になる)=治ったと解釈する場合
まず
①症状がなくなる(もしくは軽度になる)=治った
と解釈するならば、症状を以下の3つに分類できます
A:出血
B:痛み
C:脱肛
A出血やB痛みは『いぼ痔』の腫れがまず原因ですから軟膏・坐剤にて腫れを引かせるよう治療しましょう。
さらに、肛門への負担(足を引っ張られないように)を減らせるべく、便秘や下痢の改善に努め、排便の時間を極力短くする習慣も大切です!
腫れが引いてくれば、痔核の腫脹は減少し、痛みも出血も軽減してきます。入浴にておしりを温めるのも有効です。
軟膏坐剤では出血が止まらなかったり、一度出血が止まってもまた出血したり、の繰り返しの方はまず『風船の中の絵の具を固める』ALTA(ジオン®)もしくはPAOスクレーという硬化療法が有効です!
まあ言わば
『痔核の硬化療法』=『風船の中の液体を固めるクスリ注入』≒『油を固める粉』
みたいなもんですね
さて、いずれにせよ出血や痛みの症状が治まっても痔核 そのものは無くなったわけではありません。
風船で言うと、しぼんだだけです。
もっともALTA(ジオン®)注射療法は出血の症状を改善させるだけではありません。
ALTA(ジオン®)注射療法について少し話しておきましょう。
ALTA(ジオン®)注射療法
ALTA(ジオン®)注射療法は今から20年くらい前に中国から入ってきた内痔核部分を固める注射療法(硬化療法)です。
『消痔霊』という中国にあった注射液を日本国内で改良したものです。四段階注射法という 内痔核分を4つに分画して浅くもなく深くもない部分に的確に注射をすることが必要です。
すると
きちんとALTA(ジオン®)が注入された内痔核は、内部の血管が潰され、出血をしやすかった痔核は出血しにくくなります。
そして、依然話した筋肉と粘膜クッションの間の緩み、いわゆる『表層雪崩の下の部分』がALTA(ジオン®)の炎症効果による癒着で固定されるので内痔核部分の脱出が改善されます。
しかし、ALTA(ジオン®)は炎症を起こして固めるのですから、痛みの神経がある『外痔核』部分には打てません!打ってはいけません!
もし・・・ALTA(ジオン®)の薬液が外痔核に流入してしまったら外痔核部分が腫れてとてつもない痛みとなってしまいます。
では『内外痔核』はどうなるのでしょう?
内痔核部分にALTA(ジオン®)を注射すると、内痔核が縮小し、痔核全体として口側に引きずり込まれるため、外痔核は肛門の淵からちょっと入ります。
しかし、もともとの外痔核が小さくなったり、無くなることはないのですから、大きな外痔核はあまり変わらないですし、小さな外痔核は少し良くなった気にはなります。
ですから
ポイント!
ALTA療法は『内痔核』の出血、脱肛に有効
ALTA療法を『内外痔核』に注射する場合は『内痔核部分』>『外痔核部分』に有効
『いぼ痔(痔核)』がなくなる=治ったと解釈する場合
次に
②『いぼ痔(痔核)』がなくなる=治った
と解釈するならば。長年かけて作り、すでに症状を呈している『いぼ痔』(痔核)は取ってしまうしか無くなりはしません。
となると手術療法による痔核切除が基本となるわけです。
さてここで・・・痔核切除と言っても、
『日帰り手術』で痔が治ります!とか『入院手術』が必要です!
と言っている医療施設を、目にすると思います。
どこが違うのでしょうか?そもそもやっている手術は同じなのでしょうか?