『器械吻合機で行ういぼ痔(痔核)の手術』です。『PPH法』と言います。
脱肛した『いぼ痔(痔核)』や『粘膜脱』を器械で奥に閉じ込め、その口側の直腸の余剰な粘膜のたるみの部分を環状に切ってつなぎ、吊り上げることによって肛門の中に閉じ込める方法です。
前に話したように直腸の粘膜部には痛みの神経はないのですから術後に痛みはありません。
結果的に入院期間も短く、社会復帰も早くなるというわけであります。
また器械吻合器を用いた手術のため、全周性の高度な脱肛であっても技術的に容易であるという長所から1999年から日本でも脚光を浴びたのですが、徐々に再発が多いとか、若い方に施行すると吊り上げで術後痛がるとか、そもそも正常な直腸粘膜を全周にわたって切除するのはいかがなものか?という意見が起き、今では症例を選び、『全周性の内痔核や粘膜脱』に限られるとして施行されています。
『最新手術』=『最良の手術』ではないのですね。もっとも『ずっと長く施行されている方法』というのは『良い手術』であり、廃れませんからね。
僕ら外科医はその基本を守り、新しい手法を武器として時には取り入れ『最良の手術』にしていきたいと思っています。