血栓性外痔核
血の塊(血まめ)です。飲酒後や運動後に突然できます。突然肛門にしこりが出来て痛くなります。大部分は軟膏で改善しますが、痛みの強い場合や、大きい場合は血の塊を取り除くと早く治ります。外来(日帰り)手術が可能です。
肛門周囲炎
肛門の周りの皮膚がただれる皮膚病です。多くは手のアカギレのようにかぶれなどが原因ですが、真菌(カビ)による場合もあり適切な処置が必要です。
原因
- いぼ痔の脱出により腸液が漏れ肛門がただれる
- 接触性の皮膚炎
- 機械的刺激(下着のこすれなど)
※カンジダなどのカビ(真菌)、インキン・タムシ(股部白癬症)などは季節によって症状が変わります。
※女性の方は、生理の前後にオリモノが多くなると、かゆみを訴えられる方も多い。
症状
かゆみ、痛み、熱感
※肛門の皮膚が荒れてくると浅い切れ痔状態になり、痛かゆさが出現します。
治療
まず原因の除去が必要です。カンジダなどの真菌が可能性として考えられた場合は真菌を退治する軟膏が必要です。
注意
オシリが痒くなると不潔のためではないかと考え石鹸をつけてゴシゴシ肛門を洗う方が多くいらっしゃいます。しかしそれは大きな間違いです。決して肛門を擦ってはいけません。(なかには本当に不潔な方もいらっしゃるとは思いますが・・・)強く擦ると皮膚炎を悪化させてしまうだけなのでガーゼのようなもので軽く洗い、中性石鹸を使用しましょう。
肛門の皮膚の癌から痒みが来る場合もあり、症状が持続する場合は専門医の診察が重要になります。
- 肛門が痒い場合はまず原因の究明を!
- 不潔と思いゴシゴシ擦るのは逆効果
- カンジダ(カビの菌)が原因の場合が多い
尖圭コンジローマ
パピローマウィルスというウィルス感染が原因です。「性病」であり、性交、皮膚の強い接触で感染します。放置しておくと他人に感染させる危険性があるばかりでなく、大きくなると癌化する可能性もあります。手術により切除する必要があります。しかし、再発することが多く根気強く切除する必要があります。
直腸脱
直腸粘膜が肛門の外へ脱出した状態です。直腸、肛門の支持組織の脆弱性に腹圧が加わる時におきやすい。ドリルのような同心円状の直腸粘膜ヒダの脱出があります。
痛みを伴うことは少ないですが、腸液や便などの漏れや下着が汚れてしまう事があります。
原因
直腸、肛門の支持組織の脆弱性に腹圧が加わる時におきやすく加齢的変化です。
治療
手術により余分な直腸粘膜を切除したり、肛門内に吊り上げたりします。
- ドリルのような粘膜の脱出が肛門からある
- 手術以外に治すのは難しい
- 高齢の方が多く手術の適応が難しい
特発性肛門痛
直腸粘膜が肛門の外へ脱出した状態です。直腸、肛門の支持組織の脆弱性に腹圧が加わる時におきやすい。ドリルのような同心円状の直腸粘膜ヒダの脱出があります。
痛みを伴うことは少ないですが、腸液や便などの漏れや下着が汚れてしまう事があります。
原因
痔核や切れ痔などのはっきりした肛門の病気がないにもかかわらず、肛門の奥に痛みを感じる病気です。「特発性」というのははっきりした原因が見あたらない場合に付ける医学用語です。はっきりした原因は分かりませんが、最近最も有力な説としては、肛門括約筋(肛門の周囲にある輪状の筋肉)の痙攣説です。
普段肛門括約筋は、、無意識のうちに収縮して、無意識のうちに調節機構が働いているのですが、何らかの原因でうまく調節できなくなり、必要以上に肛門括約筋の収縮(痙攣)をおこしてしまうのです。この過敏な反応が肛門痛を引き起こすのではないかと考えられています。
心身症的な要因も多分にあって、「便を失禁するのではないか」という恐怖心が無意識に働いているのではないかとも考えられています。
症状
夜間に痛むことが多く、キューとしめつけられるような痛みが特徴です。
直腸、肛門が過敏になっていますので、ちょっと便意をもようしただけで痛みを感じ、排便とともに痛みが消失することが多いようです。しかし、逆に排便後に痛みを感じることもあります。
治療
根治的な治療法はありませんが入浴により肛門の括約筋を含め心身共に緊張を和らげるのが効果的です。心身症的な要因が考えられるときには精神安定剤が有効です。
座薬や軟膏が有効な場合もありますが、かえってこれが刺激になって症状を悪化させることもあります。括約筋に局所麻酔剤を注入することで痛みが和らぐことがあります。
少し便がたまっただけで肛門括約筋が過剰に反応を起こしますので,その都度排便して空っぽにしておくことも有効な方法です。
肛門がん
肛門の癌は肛門の内部(肛門管内)の癌と肛門皮膚の癌に大別されます。
尖圭コンジローマや長期痔ろうにより発症するということもあります。また内痔核や肛門ポリープと間違えられることもあり、適切な診察が必要です。
外科的手術が必要ですが、残念ながら進行した場合手術は人工肛門が避けられません。
原因
肛門の上皮は皮膚と同じ「扁平上皮」という組織で覆われています。従って、肛門ガンは消化器ガンと云うよりも皮膚ガンの仲間に入ります。複雑痔ろうやコンジローマはガン化することがあり注意が必要です。
症状
主な症状は肛門腫瘤(しこりとして触れる)、出血、痛みです。
そけい部のリンパ腺に転移することが多く、そけい部のグリグリをに触れ心配で来院される方もいます。また肛門周囲の湿疹と紛らわしいタイプの特殊な肛門ガンもあります。
一見湿疹様なので医師も誤診しやすく、発見が遅れることがあります。
治療
手術での切除が原則です。進行ガンの場合には「肛門切除と人工肛門」が必要となります。早期ガンの場合には「部分的切除と放射線療法の併用」も可能です。
注意
肛門ガンをただのイボ痔・切れ痔・肛門ポリープなどと思い込んでいる場合がありますので、恥ずかしがらずに専門の肛門科で診察してもらうことをお勧めします。
- ただのいぼ痔と自己判断せず専門医を受診するべき!
- 肛門の癌は人工肛門の可能性が非常に高い!
- ソケイ部(太ももの付け根)のリンパ腺の腫れに注意