『大腸がん』は日本で年々増加しています。
厚生労働省の『人口動態統計』での『部位別がんの死亡率』の推移です。
どうしてなかなか死亡率が低下しないのでしょう?
市や区の大腸がん検査(便の潜血検査)を受けたところ、精密検査が必要と判断されご来院される方が多く『大腸肛門科』には見えられます。
『以前から痔があるので時々血は出ていましたし、おそらく便の検査(便の潜血検査)が陽性になったのは痔のせいですよね?』という方もいます。
えっ
怖くないですか?
まさに・・・大腸がんでの死亡者が減らない理由がここにあります!
まず、市や区の大腸がん検査は『便潜血検査』という簡易的な検査です。
読んで字の如く、『潜血』ですから。潜む→見えない。つまり、『便の中に見えない血が混ざっているか?』という検査です。肉眼的に血が見えるのはすでに潜血でないので、便に血が混じっているのであれば『血便』ということになります。『血便』の方がもはや『便潜血』検査をする意味はないですよね?
その時点で精密検査である『大腸内視鏡検査』をするべきです。
過去3年以内に『大腸内視鏡検査』をしていない方であれば『便潜血検査』が2回法で1回陽性でも、たとえ100回やって1回陽性であろうとも精密検査である『大腸内視鏡検査』をするべきです。
便潜血検査で陽性になった人のうち、実際にがんが見つかるのは2~4%程度です。まあ、簡易的な検査としてはこのくらいの陽性率ならば、やはり怖いですよね。逆に便潜血陽性でも70%くらいの方は異常なしという結果です。
おそらく・・・・慢性的に『いぼ痔(痔核)』もしくは『切れ痔(裂肛)』を抱えている方なのか、またまた・・・検査の便を提出しなきゃ!と力んで便を出したときにたまたま切れてしまったのだと思われます。
逆に、手術が必要な『大腸がん』はどのくらいの確率で便潜血が陽性になるのでしょうか?実は・・・・・・約90%くらいです!
ということは・・・・・10%は見逃されてしまうということです。
なんででしょう?『大腸がん』だからと言って出血しているとは限らないからです!
『大腸がん』は腸のどの位置にできたかで症状も変わります。
小腸の出口(回腸→盲腸)の時点(右側の腸)では便はまだ液状です。
大腸は水分を吸収する臓器ですから、直腸→肛門に到達するまでにだんだん硬くなってきます!
ですから、
右側の腸に『大腸がん』ができても、よほど大きくならないと便によって擦れて出血するようになるのに時間がかかるのです!逆に言うと、便秘の症状が出るまで右側の大腸がんを放っておくと、かなり進行してからの発見になってしまうわけです。
左側の腸に『大腸がん』ができた場合は出血しやすいわけですし、『便秘』や『腸閉そく』と言って腸が便によって詰まってしまう症状が出やすいのです。
まあ、『便の潜血検査』が陽性になったら必ず精密検査をしましょう!
できれば『陰性』でも『症状がなくても』・・・」40歳以上なったら定期的に『大腸内視鏡検査』をするのが最も安心だと思います。