下肢静脈瘤の手術について

下肢静脈瘤の手術と術後の生活について

バリックス術

当院オリジナルの下肢静脈瘤カスタムメイド手術となります。
レーザー・ストリッピング術、硬化療法、下記に記載する手術、治療法を複合的に組み合わせ、当院の専門医が患者様に最適な医療をご提供する手術を「バリックス術」としています。

料金表

レーザー術

当院では、保険適用のレーザー手術が可能です。
現在、日本で健康保険適用となっているレーザー機器はELVeSレーザー(980nmと1470nmの2種類)のみです。
このレーザーを用いた場合、どの病院でも手術料金は、片足につき健康保険3割負担の方で約6万5000円、1割負担の方で約2万5000円と決まっています(実際の治療費は、これに麻酔費用や検査費用などが加わります)。
日本全国で最も行われているレーザー治療はELVeSレーザーです。
下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術は、シミ取りなどのレーザー(シミの外からレーザーを当てる)と異なり、壊れた血管内にレーザーファイバーを挿入し、血管の内側を焼いて血管を閉塞させる方法です。


下肢静脈瘤のレーザー手術後


980nm ELVes保険レーザーの手術後には、個人差がありますが、太もも内側のレーザー治療した部位に皮下出血(内出血)が起こります。なかでも目立つ皮下出血の患者さんの写真を供覧します。
この皮下出血(内出血)は、見た目は大変痛々しいのですが、痛みの原因とはなりません。
2~3週間で、自然に消えていきます。肘や脛(すね)をぶつけたときに出来る青あざと同じです。レーザー治療を受ける患者さんには、あらかじめ写真を見ていただき、必ずご説明します。

先端の保険レーザー治療1470nm ELVeS


1470nm ELVeSレーザーとラディアル2リングファイバー

1470nm ELVeSレーザーでは、980nm ELVesであった皮下出血(内出血)が軽度になったうえ、費用は、980nmレーザーも1470nmレーザー共に、同じ料金です。
このレーザーと新しいレーザーファイバー(ラディアル2リングファイバー)の組み合わせにより、980nmレーザーで起きる皮下出血や痛みがほとんど生じなくなりました。現在のところ、当院で治療した半分以上の患者さんが、痛み止めの薬を一度も使わずに済んでいます。

レーザー治療ができない下肢静脈瘤

すべての下肢静脈瘤が、レーザーで治せる訳ではありません。 治療が必要な下肢静脈瘤の約1割はレーザー治療に適さない静脈瘤です。

レーザー治療に適さない静脈瘤の場合、小切開による切除やストリッピング術が必要になることがあります。レーザーに適さない静脈瘤とは、左図のように静脈の蛇行がひどい(ぐねぐね曲がっている)例です。

症例①

太ももの太い血管がぐねぐね曲がっていてレーザーファイバーを通すことが出来ません。小さなキズから丁寧に静脈瘤を取り出す手術が必要です。

症例②

膝裏の小伏在(しょうふくざい)静脈が膨れて、すぐに枝分かれしている静脈瘤もレーザーファイバーを通すことが出来ないため、小切開切除による治療が必要です。

症例③

手術後は小さなキズはつきますが、時間がたてばキズ跡は目立たなくなります。 それぞれの静脈瘤に応じた適切な治療方法を選択することが重要です。

切らない下肢静脈瘤治療

下肢静脈瘤の治療の目的
  1. だるさやむくみ、足のつり(こむら返り)などの不快な症状をよくすること。
  2. ふくらはぎのボコボコの見た目をきれいすること。

ただ、折角治療を受けるのだから、見た目もきれいにしたいですよね?
太ももの内側やふくらはぎの裏に隠れている伏在(ふくざい)静脈の逆流をなくすことでよくなります。以前は、外科手術で伏在(ふくざい)静脈を切除していましたが、レーザー治療の登場により切らずに伏在静脈を治療できるようになりました。
レーザー治療による伏在静脈の治療で、だるさやむくみ、こむら返りの症状はよくなりますが、レーザー治療だけでは約半数の患者さんしかボコボコがきれいになりません

症例①

太ももの伏在(ふくざい)静脈のみレーザー治療を行い、ふくらはぎのボコボコには手をつけませんでしたが、レーザー治療後ふくらはぎのボコボコはすっかりへこんできれいになりました。

症例②

太ももの静脈のみレーザー治療を行い、ふくらはぎのボコボコがきれいになることを期待しましたが、手術前よりもボコボコがへこみましたが、うっすら膨らんでいます。
(捉え方は個人差ございますが、この程度の膨らみは気にならない方もいらっしゃいます。)
以上のように、レーザー治療だけでは、ふくらはぎのボコボコがきれいにならないことがあります。ボコボコがひどい方には、小切開静脈瘤切除を同時に施行しています。

レーザー術と小切開静脈瘤切除法

レーザー治療は全く切らない治療方法ですが、実はレーザー治療のみでは、ふくらはぎのボコボコした血管はきれいにはなりません!
ふくらはぎのボコボコが軽い患者様は、レーザー治療のみで治療可能(レーザー治療のみで目立たなくなる)ですが、ボコボコがかなり目立っていてきれいにしたい方は、レーザー治療と静脈瘤を直接切除する方法を組み合わせることが一般的です。
太ももの壊れた静脈をレーザーで治療し、その後、ふくらはぎのボコボコを直接取り除きます。
静脈瘤を直接切除する方法とは、小切開静脈瘤切除法という方法で、約3mmの小さなキズから特殊な道具を用いて静脈瘤を取り除く方法です。

少し前までは、静脈瘤を切除する方法は1cmのキズの大きさが必要でしたが、最近では3mmで切除することが可能になり、キズを縫う必要はなく、手術後の消毒も必要ありません。

手術翌日にテープを貼らせて頂き、そのまま貼りっぱなしでシャワーを浴びて頂きます。1週間後にテープをはずし治療終了です。キズは数ヶ月たつとほとんど跡が残らず目立たなくなります。

ストリッピング術

ストリッピング術は、ELVeSレーザーが保険適用となる前は、下肢静脈瘤の標準治療として行われてきました。現在でも、レーザー治療を行っていない施設ではストリッピング手術が標準治療です。どちらが良い治療かは、患者様の症状により、どちらがいいかは、一概には決められません。それぞれの患者様に最適な治療をご提供いたします。
詳しくは、当院の専門医にご相談ください。

硬化法

硬化療法は、静脈瘤に硬化剤を注射するものです。
硬化剤により静脈が損傷され、静脈はペシャンコになります。つまり、硬化剤は静脈を癒着させペシャンコにする接着剤のようなものです。このようになると静脈瘤は、目立たなくなり血液が溜まらなくなり、「だるさ」や「むくみ」がなくなります。
硬化療法のあと、注射をした部位に「しこり」や「色素沈着」などがおこりますが、次第に薄くなり消失します。
硬化療法に要する時間は、1回10~15分程度です。70%以上の患者様が、1~2回の治療でよくなります。

静脈瘤治療の術後の生活

1手術当日

家事労働含む日常生活が可能です。

2手術翌日

事務仕事などの軽作業が可能です。
シャワーも翌日の診察後より可能です。
車の運転も可能です。

3術後2~3日目から

肉体労働、立ち仕事が可能です。
自転車も乗車可能になります。

4術後4日目から

入浴が可能です。

4術後1週間目から

アルコール再開していただく事が可能です。
温泉も入っていただいて構いません
プールも可能ですが、太ももの青あざが目立つ時期です。

4術後2週間目から

長期の旅行や海外旅行が可能です。

4術後3週間目から

スポーツやジムでの運動が可能です。

4術後1ヶ月目から

サウナや加圧トレーニングも可能です。