胃潰瘍とは
胃の壁が傷つき深くえぐれて穴が掘られた状態です。胃潰瘍は中高年に多い傾向があります。
胃潰瘍の症状
特に食後に心窩部痛(みぞおちの痛み)から始まることが多いようですが、人によって症状は様々です。胸焼けや吐き気を伴うこともあります。食欲がなくなり体重が減ってきます。えぐれた潰瘍部位に血管があると、出血を来たします。吐血(血を吐く)や、便が黒くなってくるのは出血をしているサインです。また、潰瘍が胃の壁を貫くと胃穿孔(穴があいた状態)となり、緊急事態です。早急に手術が必要な場合もあります。
胃潰瘍の原因
胃の中は食事を消化する胃酸が分泌されます。胃酸は食事を消化するのにとても大事な消化酵素ではありますが、かなり強い酸性ですから胃の壁は粘膜・粘液によって防御されています。しかし、ストレスや薬剤などにより胃酸の分泌(ペプシンの作用)と胃粘膜の保護の関係が崩れてしまい、胃酸の攻撃力>胃の防御力となってしまうとだんだん壁がえぐられてきてしまうのです。
胃潰瘍の検査と診断
内視鏡検査が一般的です。口から、もしくは鼻から食道⇒胃⇒十二指腸下降脚までの上部消化管の粘膜を、小さなカメラが搭載されたファイバースコープによってカメラに映し、粘膜の状態を直接観察します。検診では未だ「バリウムによる透視検査」が行われているところが多いですが、胃潰瘍や胃のただれを呈している病変には常にガンの可能性を疑い、病理組織検査(生検:組織の一部をかじってくる)をすることが大事です。またピロリ菌の存在チェックも重要であり、陽性の場合は除菌が必要です。
当院の胃カメラは全員、日本消化器内視鏡学会認定専門医です。検査はご希望にて沈静下(Sedation:眠っている間の検査)に終了します。鼻からの施行する検査も可能です。また検査結果の説明には撮影した写真をモニターに映し、結果報告書には抜粋した写真とともにお渡しします。また、治療内容を患者様にわかりやすく説明することに心がけており、今後ご近所のかかりつけの先生への紹介状(内服処方の詳細)も作成いたします。ご不安やご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
治療法
胃潰瘍の治療の原則は、先ほど話した胃酸の攻撃力を弱める「H2ブロッカー」や「PPI(プロトンポンプ阻害薬)」などの胃酸分泌抑制薬、そして粘膜の防御力を強める「防御因子増強薬」です。ピロリ菌に感染していて除菌をされてない場合はまず除菌療法が必要です。
胃潰瘍から出血をしている場合には、まず全身状態の安定をはかる為に入院の上、輸液、輸血を施行します。その後内視鏡にて潰瘍部に止血の薬剤を注入し、クリップを使い止血します。