胃痛

このような症状はありますか?

胃痛というと胃のあたりの痛みを訴えて来院される方が多いですが、胃が実際に痛いのか?また胃の近くの臓器が痛いのか?また、胃の中が悪くて痛いのか?胃のけいれんや動きによって痛いのか?と症状や原因は様々です。
胃のあたりはいわゆる“みぞおち”です。

  1. 胃が差し込まれるようにキリキリ痛い
  2. 胃が重く痛い
  3. 胃がキューッとしぼられるように痛い
  4. 胃液がこみ上げてくる
  5. 吐き気(嘔吐)を伴い胃が痛い
  6. 食後に胃のあたりが痛い
  7. 空腹時に胃のあたりが痛い
  8. 背中が痛い
  9. 胃の上あたりが心臓発作のような狭心痛のように痛い
  10. 胃の痛みが何日にも前から持続している
  11. 胃の痛みが周期的に何日か続いては一旦治り、再び痛くなる
  12. 職場に行くと胃が痛くなる
  13. 最近、食欲がなく体重が減ってきた
  14. 黒っぽい便が続いている
  15. 血を吐いた(吐血)
  16. 下痢が続く

胃痛を和らげる姿勢

前かがみ

体育座りのように脚を前で抱え座る姿勢は腹壁の緊張が緩み腹痛が和らぐ時があります。

横向き(シムス体位)で寝る

身体の側面を下に向けて、うつ伏せ気味で横たわり、片方の足(下側)を伸ばし、反対の足を前に出して曲げた姿勢です。胃もたれの改善や消化を促進させる場合は右腹を下、胸焼けや逆流性食道炎など逆流を防ぎたい場合は左腹を下にして寝ると症状が改善します。大きな抱き枕を使うと楽です。妊婦さんのつわりの際にも有効です。

シムス体位

長時間の胃痛を放置するのは危険です

胃の痛みが何日も続いていたり、いったんおさまってもまた繰り返し起こる痛みを放置するのは大変危険です。胃がん、胃潰瘍、十二指腸のほか他臓器の病気の可能性も考えられるので、専門の病院で早めの診察をしてもらいましょう。

胃痛の原因

胃が痛くなる原因は①胃の中の壁が荒れたり、潰瘍ができている粘膜障害

  1. 胃の動きが原因でおきる蠕動痛
  2. は急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍、胃アニサキス症があげられます。
  3. は機能性ディスペプシアへ

 胃を悪くする要因(誘因)には

不規則な食生活や暴飲暴食

夜遅く(寝る前)の食事やアルコールの飲みすぎ、脂っこい食べ物の食べ過ぎ、香辛料などの刺激物は胃酸の分泌が強くなり胃粘膜に過剰な負担をかけてしまいます。胃の壁が炎症をおこし、胃の疲れ、消化の悪さ、胃の動きの悪さも引き起こします。

ストレス・睡眠不足

ストレスが溜まったり、睡眠不足が続くと自律神経の乱れが生じ、消化不良や胃、十二指腸の動きが悪くなります。

喫煙

喫煙は胃酸の過剰分泌を促してしまいます。結果、胃粘膜の血流を悪化させ炎症が起きやすくなり、胃炎・胃潰瘍が起こる原因となります。また胃腸の動きも悪くします。ですから禁煙してたばこやめた方が逆に、胃腸の動きが良くなって食事がおいしくなり太ってきてしまったなんて話はよく聞きます。

胃痛を伴う消化器疾患もしくは胃のあたりが痛い疾患

急性胃炎

原因はさまざまですが、胃痛、胃重感、吐き気、腹部膨満感などの症状が急性に起きます。

慢性胃炎

ピロリ菌感染の持続で、胃粘膜が萎縮し胃酸からの防御に弱くなっている状態です。急性胃炎と同様な症状を呈しますが、慢性化により症状が軽快しても再び症状が出ます。

胃潰瘍

胃の壁が傷つき深くえぐれて穴が掘られた状態です。発症にはピロリ菌感染関与しています。食後の心窩部痛(みぞおちの痛み)が特徴です。胸焼け、吐き気、食欲不振、体重減少、吐血(血を吐く)や、黒色便を呈します。潰瘍が胃の壁を貫くと胃穿孔(穴があいた状態)となり、緊急事態です。早急に手術が必要な場合もあります

十二指腸潰瘍

十二指腸球部の壁が傷つき深くえぐれて穴が掘られた状態です。発症にはピロリ菌感染関与しています。特に空腹時(夜間)の心窩部痛(みぞおちの痛み)です。胸焼け、吐き気、食欲不振、体重減少、吐血(血を吐く)や、黒色便を呈します。潰瘍が十二指腸の壁を貫くと穿孔(穴があいた状態)となる場合があります。

機能性ディスペプシア

明らかな病気が胃内には見当たらないのに胃痛や胃もたれ、食欲不振などの症状が慢性的に起きてしまう症状の総称です。機能が悪くなる原因はストレスなどの心因的な胃への負担が慢性的にある場合や年齢的な胃の疲れなどと言われています

胃がん

胃にできた悪性腫瘍です。ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の持続的感染が最も発生を高める危険因子であると言われています。早期の胃がんは、自覚症状がほとんどありませんが、進行し、潰瘍部分が深くなってくると胃痛、胸焼け、腹部膨満感、食欲不振、貧血、嘔気、体重減少といった症状が出てきます。

急性胆嚢炎

肝臓で作られる消化酵素である胆汁を溜めておくタンクである胆嚢の壁が炎症を起こしたものです。胆嚢は右季肋部(右肋骨の下)にあり、胃に近いため胃痛と紛らわしい重苦しい痛みを呈します。息を深く吸い込んだ時の痛みが特徴です。

急性虫垂炎

いわゆる“もうちょう”です。虫垂は右下腹部にあり、だんだん痛みの位置が限局してきますが、最初の症状は胃の痛みを訴える方が多いです。

急性膵炎

膵臓は胃の後ろにある臓器で、心窩部(みぞおち)や背中の強い痛みが特徴です。

膵臓がん

膵臓にできた悪性腫瘍です。進行し大きくなると心窩部(みぞおち)や背中の強い痛みを呈します。

逆流性食道炎

胃酸が食道に逆流してしまい食道の粘膜が荒れてしまった状態です。食道裂孔ヘルニアが大きいと症状が出やすく、最初は軽度の胃酸逆流から胸焼けを呈する程度ですが、ひどくなってくると心臓の狭心発作のような息苦しさも出てきます。

胃痛の検査

胃カメラ検査前述のように胃が痛いのか?胃のあたりが痛いのか?
まずは胃カメラで胃の中を観察することが必要です。胃の中に痛い理由があればその疾患の治療をします(急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がん、胃アニサキス症、)
また同時に胃のあたりが痛くなる疾患の除外も必要ですから腹部超音波検査もしくはCT検査にて周囲の臓器も調べ除外診断をすることも必要です。

胃カメラ検査について

胃痛の治療

前述の各々の疾患に対し適切な治療をすることが重要です。

当院では経験豊富な内視鏡や胃腸内科診療を専門とした医師が胃カメラ・大腸カメラ検査を施行し、腹部超音波検査、精度(解像度)の高いCT検査、MRI機器を備えています。また、泌尿器科、婦人科も併設しており他臓器の除外診断の検査も当院で完結することができますのでお気軽にご相談ください。
検査の際に病変を見つけたら、その場で組織を採って詳しく調べ(生検)たり、出血箇所の止血をしたり、腸内の安静を計るための入院設備も整えられています。
早期に発見し、早期に治療することができれば、体への負担が少ない治療で症状の改善を期待できます。