胃がん

胃がんとは

胃は食事を口から摂取し食道を通ったあと、食事を消化するために一時的に溜めておく場所です。その胃の壁の一番内側である粘膜にがん細胞ができ、分裂増殖する病気です。多くの胃がんは治療せず放置されると粘膜層からさらに粘膜下層⇒固有筋層⇒漿膜下層⇒漿膜と深い層へ浸潤していってしまいます。胃の周りにある血管やリンパの流れにがん細胞が入ってしまうと転移し多臓器へがんが飛び火してしまいます。そして一番外側の漿膜を破り腹腔内に穿破すると「腹膜播種」といっておなかの中にがんがばら撒かれてしまいます。
胃がんの中には、深く浸潤せず、粘膜内を横に這うように増殖するタイプのものもあります。(スキルス胃がん)これは胃の中の表面(粘膜面)からは分かりにくく、まるでステルス戦闘機のように内視鏡では発見が難しく、胃の壁の硬さから内視鏡から送気した空気の膨らみの悪さやバリウム透視での確認が必要です。

スキルス胃がん

胃がんは、大腸がんとは違い胃のポリープを切除していればがん化しないというものではありません。胃のびらん(粘膜のただれ)や潰瘍変化をしているところがないか、定期的に(1年に1度)胃カメラを施行し見回りに行くことで、早期発見が可能です。そして早期にさえできれば内視鏡下での切除治療や、腹腔鏡での手術にて治癒率は大幅に期待できます。当院では、医師すべてが日本消化器内視鏡学会専門医であり、さらに最新鋭の内視鏡・内視鏡システムを使用し早期の胃がんを発見して適切な治療に導きます。

胃がんの原因

胃がんの原因は、ほかのがん同様に遺伝子の突然変異ですが、近年、発症に関わる大きな誘因としてヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の持続的感染が最も発生を高める危険因子であると言われています。ピロリ菌に感染している方すべてが、胃がんを発症するわけではありませんが、逆に言うとピロリ菌を除菌することで、胃がんになる確率は大幅に減少します。

胃がんの症状

早期の胃がんは、自覚症状がほとんどありません。進行し、潰瘍部分が深くなってくると胃痛、胸焼け、腹部膨満感、食欲不振、貧血、嘔気、体重減少といった症状が出てきます。当然、胃潰瘍や十二指腸潰瘍でも同様の症状が出現します。

検査

胃カメラ検査検診では未だ「胃のバリウム透視検査」をしているところも少なくありませんが、あくまでも現代では内視鏡検査(胃カメラ)が最も有効であり確実な検査です。
口、もしくは鼻から内視鏡を挿入して、十二指腸下降脚まで観察します。粘膜びらんや、粘膜の粗雑部、潰瘍を見つけた際はその組織の一部をかじり取り、顕微鏡で観察する「生検」を行います。
内視鏡検査時に明らかに胃がんであることが明白な場合や、病理検査にて、がんであることが確定的になってしまったら、次は周囲の臓器との境界や転移がないかどうかの判定をCT、腹部超音波検査、MRIにより行います。
内視鏡検査を施行した医療施設にCT、腹部超音波検査、MRIを併設している場合は同日に検査可能です。
血液検査(腫瘍マーカー)CEA、CA19-9は胃がんが発見された際に高値になっていた方は切除後に再発の指標として有効です。しかし「胃がん」があっても高値にならない方も多いので、「胃がん」があるかどうかの診断の決め手にはなりません。

胃カメラ検査について

治療方法

早期の胃がん(粘膜内がん)は内視鏡下での切除手術が可能です。進行している場合は腹腔鏡での手術や開腹手術を行うことになります。術後の病理検査にて実際の進行度(深達度、転移)をステージ分類がなされ化学療法(抗がん剤)を追加する場合もあります。胃がんは定期的な検査を受けて早期発見できれば、完治しやすい病気といえます。まずはお気軽にご相談ください。