食道裂孔ヘルニアとは
「ヘルニア」とは医学用語で、「体内の臓器などが、本来あるべき部位から「脱出・突出」した状態」を指します。
胸部と腹部の間には横隔膜と境があります。そしてその食道と胃のつなぎ目(食道裂孔)には一度胃の中に入った水や食べ物が逆流しないように筋肉によって締められています。しかしそれが弱くなると、つなぎ目に隙間が生じ、胃が食道の方にずれてきてしまい胸部に脱出するようになります。この状態を「食道裂孔ヘルニア」といいます。
食道裂孔ヘルニアの症状
軽度のヘルニアでは症状はとくにありませんが進行し逆流性食道炎を呈するようになると、強い胸焼けを呈するようになります。時にその胸焼けは胸痛ととらえられ、狭心症発作の症状と紛らわしく、心臓の内科を受診される方も多くみられます。
食道裂孔ヘルニアの原因
食道裂孔ヘルニアは、度重なる反芻癖や、肥満など、おなかの圧力が高い状態が常時あることで起こります。
検査
胃カメラで、胃の中から食道と胃の接合部を観察すると本来隙間がない部分に広く隙間の空いているのがわかります。また食道側からは食道の炎症があるかどうかの有無もわかります。
当院では経験豊富な内視鏡や胃腸科診療を専門とした医師が胃カメラを施行し、また腹部超音波検査、精度(解像度)の高いCT検査、MRI機器を備えています。泌尿器科、婦人科も併設しており他臓器の除外診断の検査も当院で完結することができますのでお気軽にご相談ください。
検査の際に病変を見つけたら、速やかに治療します。腸内の安静を計るための入院設備も整えられています。
早期に発見し、早期に治療することができれば、体への負担が少ない治療で症状の改善を期待できます。
治療方法
逆流性食道炎の症状がある場合には、それに応じて治療をしますが、ヘルニアそのものの、ゆるくなったつなぎ目を治す方法は現在手術以外にはありませんし、手術はよほど重度の症状でない限り適応にはなりません。生活上の注意として、食後すぐに横にならないことや、寝る直前に飲食をしない、そしておなか一杯食事をせず、常に腹八分目の食事を心がけるなどの工夫が必要です。