- 胃カメラ検査とは
- こんな症状があったらできるだけ早く胃カメラ検査を受けてください
- 当院の胃カメラ検査の特徴
- 胃カメラ検査を受けるタイミング
- 胃カメラで診断できる病気
- 胃カメラ検査の流れ
- 胃カメラ検査後のお食事について
- 胃カメラ検査の費用
胃カメラ検査とは
胃内視鏡検査(胃カメラ)は、正式には「上部消化管内視鏡検査」と言い、咽頭から食道、胃、十二指腸下行脚までの範囲を観察するものです。
そもそも「胃カメラ」は吐血、下血、強い胃痛を伴う方で「胃がん」が疑われる方の精密検査として施行されるもので「胃がん」を発見するために開発され発展を遂げてきました。
昔は画面を映し出すモニターはなく、小さなレンズをのぞき込み太い管を口から挿入して胃の中に入れて観察していたわけですから、見る方も見られる方も大変だったと思います。
(当院50年前の胃カメラ検査写真:検者 寺田病院初代院長)
それから時が流れ、職場などのがん検診(胃のバリウム)で異常を指摘された方の二次検査として行われてきた検査ですが、近年では予防医学の観点から「がんの早期発見・早期治療」のためにいかに早く病変を発見し治療するかという時代になってきました。
胃がんは大腸がんとは違い、大腸ポリープのようながんの前段階病変はありませんので、いかに早期に病変を発見し治療するかがカギです。
いくら医学が発達してもまだしばらくは「胃がん」を発生させないようにする技術は遠い先の話でしょう。ですからできれば毎年定期検査を受けて胃内のチェックをしておくことが重要なのです。
しかし、『胃カメラは苦しい!!』と思っていたり、苦しい経験をした方は毎年の検査なんて嫌ですよね。そうなるといかに楽に検査をするかという話になってくるわけです。
本来いかなる検査も
(1)苦しくなく
(2)正確で
(3)安全なもの
でなくてはいけません。
しかし、全ての項目において満足の得られる水準まで達していない医療施設が多いのも現状です。
特に「胃カメラは苦しい!!』と思っている方が多く存在することからも「早期発見・早期治療」のためにどうすればいいかが課題としてあげられます。
そもそも 胃カメラが苦しい理由は
① 咽頭反射
喉に異物が通るとき、もしくは異物を押しこまれると人間は条件反射からそれを吐き出そうと嗚咽します。
いわゆる「おえーっ!!」というやつです。 特に舌の奥の舌根部にあたるだけで反射は起き、嗚咽が起きないよう頑張れるものではありません。
② 胃の膨満感とヘルニア
胃の中を観察するために胃カメラの先から空気を入れて胃を膨らませるので、その膨満感が強かったり、吐き気を呈する方も少なくありません。
また、食道と胃のつなぎ目が緩い「食道裂孔ヘルニア」を持っている人は、空気を入れてもすぐ空気が漏れてしまい、いわゆる「げっぷ」が止まらなくなってしまいます。
③ スムーズでない内視鏡挿入
胃カメラ(ファイバー)は咽頭から食道→胃→幽門(胃の出口)から十二指腸下降脚へスムーズに挿入し、胃の壁に押し付けないように、くまなく胃内を丁寧に観察し病変を見逃さず、再びスムーズにファイバーを口から抜いてくるという技術が必要です。
それがスムーズでない医師の場合は当然受ける側はたまったものではありません。
③を解消するポイントは正確な挿入技術ですから、患者さん(被検者)の問題ではありません。
内視鏡を専門とする医師であれば、「正確な挿入技術」の習得は当然の義務と考えます。となると問題となるのは①と②です。 これは実は「適切な前投薬」により解消されます。苦痛のない胃内視鏡検査には、「前投薬」が一番大切です。「大病院で、専門医の胃内視鏡検査を受けたが、検査はかなり苦しかった。」という話を患者さんから聞くことがあります。医療側の反論としては、『件数に追われて、忙しくていちいち楽さなんて追求できない!』『回復室がないので薬を使って楽に検査をしてあげたくても検査後休ませる場所がない』「研修医に教えながらの検査になるからどうしても時間もかかってしまう」なんて言葉もちらほら。
ですから当院は20年も前(平成14年)から「適切な前投薬」を使用し楽に「胃カメラ」を施行しています。 今では多くのクリニックや病院でも施行されるようにはなってきましたが当時は「邪道」なんて言われたものです。ですが、受けた患者さんは1年後の定期検査も笑顔で来院され定期的な検査をしていただいています。だから「胃がん」を早期に発見できるのです!
症状が出てからでは「早期に発見」という意味ではもはや遅いですが、症状がなくても定期的に「胃カメラ」をしていれば「胃がん」は怖い病気ではありません!
こんな症状があったらできるだけ早く胃カメラ検査を受けてください
- 胃が差し込まれるようにキリキリ痛い
- 胃が重く痛い
- 胃がキューッとしぼられるように痛い
- 胃液がこみ上げてくる、胸焼けがする
- 吐き気(嘔吐)を伴い胃が痛い
- 食後に胃のあたりが痛い
- 空腹時に胃のあたりが痛い
- 背中が痛い
- 胃の上あたりが心臓発作のような狭心痛のように痛い
- 胃の痛みが何日にも前から持続している
- 胃の痛みが周期的に何日か続いては一旦治り、再び痛くなる
- 職場に行くと胃が痛くなる
- 最近、食欲がなく体重が減ってきた
- 黒っぽい便が続いている
- 血を吐いた(吐血)
- 下痢が続く
- のどや胸がつまる(引っかかる)感じがする
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある
- 以前、胃がんにかかり手術を施行したことがある
- H・ピロリ菌の除菌治療を施行した肉親(親、兄弟)がいる
- 胃がんの手術を施行した肉親(親、兄弟)がいる
- 未だに胃の検査を受けたことがない(40歳以上)
そのほか検診(バリウム・ペプシノーゲン検査・ヘリコバクター・ピロリ菌検査)で 胃カメラを必要とされた方など
当院の胃カメラ検査の特徴
消化器内視鏡専門医の集団による精度の高い検査
当院は、日本消化器内視鏡学会認定指導施設であり、専門医や内視鏡技師が多数在籍しています。また、安心に内視鏡ができる客観的な基準である「日本消化器内視鏡学会認定指導施設の認定基準」をクリアしています。※内視鏡医師の指名も可能です。
「前投薬(鎮静剤)」を使用しての楽な内視鏡検査
一般の方にもわかり易いように「前投薬」を説明します。
「前投薬」は咽頭反射を抑えるための「麻酔」です。その「麻酔」の力価を以下の3段階に分けて説明します。
「レベル1 前投薬は咽頭麻酔のみ
咽頭(ノド)の麻酔は、ゼリー状の麻酔薬をスプーンなどで、ノドに流し込み、これを飲み込まずに5~15分間、ノドに留めておく方法が一般的です。この麻酔自身、時間が長く、患者様から嫌われることも多いのです。うまく出来ないと、肝心のノドの奥はしびれずに、口の中がしびれてしまいます。
また、このゼリー状の麻酔薬は使用せずに、スプレー式の麻酔薬のみを使用する施設もあります。口を開けていただき、シュッ、シュッと3~5回ノドに薬を吹きかけるだけです。30秒~1分で終わります。このノドの麻酔だけでも胃内視鏡は可能ですが、喉の敏感な人でなくてもやはり苦しいもので、妊婦さんとか、検査終了後にすぐ帰りたい人などに限られるべきだと思います。多くの回復室のないクリニックや病院はこの方法であると思われます。
レベル2 咽頭麻酔の他に 軽度の鎮静剤(麻酔薬ではありません)を使用
静脈注射を使用します。
この程度では少し頭がフワフワしますが、意識は、ほぼ正常に保たれ、検査中のことはほとんど覚えています。一般的な病院などで行われている前投薬はこのレベルが多いのです。
ただし、このレベルでは、ノドの敏感な患者さんは検査を苦痛と感じ、ゲーゲーすることがあります。検査後は頭のぼっーとする状態が取れるまで回復室のベットで休んでいかれることが望ましいのですが、多くの施設が回復室は完備していない為、患者様に楽に検査をやってあげたいのに、どうしてもこの方法ができないという問題点があります。
レベル3 多めの鎮静剤と「全身麻酔導入剤」を使用(咽頭麻酔は必要なし)
静脈注射と「全身麻酔導入剤」の静脈注射を使用します。
ただし、これらの鎮静剤の効き具合は、個人によりかなり差がありますので、患者様と会話しながら、少しずつ注射をしていきます。このレベルでは患者様は、医者と会話が出来、「口を開けて下さい。」とか「飲み込んでください。」などの指示にしたがってくれますが、検査中の記憶はほとんどありません。ですから、「検査が終わりましたよ」と言うと、「エッ、もう終わったのですか?」とか、なかには「これから検査ですか?」と言われる患者様も多くいらっしゃいます。
しかし、この静脈麻酔薬は過剰投与により「呼吸停止」に陥ることがあり、きちんとした環境で酸素モニター(SaO2)や血圧を測定しながら検査を施行し、検査後もゆっくり休む回復室を完備しい麻酔が切れてから帰宅でないと危険です。
以前に胃内視鏡検査を受け、苦しい経験をされた方や、ノドの反射の強い方は、このレベルの前投薬をお勧めします。
ただし当院での検査が初回の方は、前述のように、どのくらいの使用量が適当かはわかりませんから、どうしても安全面から少なめの投与となってしまいます。それでも楽にできた、感動したという方は多いのですが、たまに効きが悪かったとか、量が多すぎて帰る際にふらふらしてしまった。という方もいるので、必ず使用量を記入し次回の検査時の参考にしています。
以上、胃カメラの前投薬にはいくつかのレベルがあります。
当院で検査を施行された方の多くは次回もレベル3を希望し、このレベルが一番楽に検査が受けられるかと思われます。 苦しい検査は患者様を必要な検査から遠ざけ、早期発見、早期治療の道を閉ざし、結果的には患者様の命を縮めることになりかねません。
検査を受ける前にその受ける施設の検査前投薬のレベルを聞き、自分にふさわしいかどうかを決めましょう。
鼻から施行する胃カメラの選択も可能
胃カメラは口から挿入して喉から食道に入れていくのが通常でしたが、鼻から挿入することで喉にかかる負担が減り、さらにカメラの径が細いために口からの挿入より苦痛が減ります。径が細いため画像の解像度や操作性に劣ると言われていましたが近年ではメーカーの技術力の進歩からほぼ口からの胃カメラと変わらない性能になっています。
経口に比べ経鼻のカメラの方が 喉の奥にかかる角度が緩やかなため反射が少ない
当院は経口でも経鼻でも施行可能です。
検査後仕事があり前投薬(鎮静剤)をなるべく弱めにしたい方(でも苦しいのは嫌)は経鼻での胃カメラが有効です。
最新の内視鏡システム(4ブース)
当院の内視鏡システムはオリンパス社の最新の最上位機種である高輝度光源装置 やファイバースコープを導入しています。病変の発見・診断・治療の質や検査効率の向上を目指した技術を搭載することで、がんなどの消化器疾患の早期発見・早期診断・低侵襲に治療することができ、患者様の負担を最大限に抑えて有意義な胃カメラ検査を行うことが可能となります。
回復室(リカバリーベット:16台)
前投薬(鎮静剤)を使用した胃カメラ検査の場合、検査終了後も眠気が強いため検査時の使用する移動可能なストレッチャーベッドをそのまま回復室(リカバリー室)まで移動いたします。回復室は看護スタッフの目が届く場所に設置してあり、且つプライバシーにも配慮しています。目が覚めてフラフラが取れるまでゆっくりとお休みください。
内視鏡管理システムにてスムーズな検査
富士フィルム社の「NEXUS」という最新管理システムにて予約→受付→検査→会計実施までを電子カルテとスムーズに連携します。また病理依頼など院内のさまざまなシステムと連携し、ハイクオリティな“つながる医療”を実現しています。
わかりやすい検査結果報告書
富士フィルム社の「NEXUS」という最新管理システムにて写真付きの詳しい結果報告書を作成しお渡しします。
胃カメラ検査毎にガイドラインに準じた洗浄を実施
胃カメラを介しての感染防止のため、患者様に安心して胃カメラ検査を受けていただくため、当院では日本消化器内視鏡学会・技師会が推奨しているガイドラインに準じた方法で感染症対策をしています。検査が終わる度ごとに1本1本スコープの洗浄消毒を徹底しています。
最寄り駅(日暮里・舎人ライナー扇大橋駅)より徒歩1分
最寄りバス停(「扇大橋駅」下車(寺田病院前)徒歩0分 都営バス「里48」系統 日暮里駅←→見沼代親水公園駅前「扇大橋駅前」バス停前 鎮静剤使用後は、安全のため翌朝まで車や自転車などの運転を控えていただく必要があります。当院は最寄り駅やバス停の目の前に位置しておりますので公共交通機関を利用しやすく、より多くの方に鎮静剤による胃カメラ検査を提供することができます。お気軽にご利用ください。
大腸カメラと同日施行可能
当院では、同日に胃カメラ検査と大腸カメラ検査を受けていただくことが可能です。胃カメラが終了後にストレッチャーベッドを反転して大腸カメラを施行します。
忙しくてなかなかスケジュールが取れない方にも時間的な負担が少なく好評です。 また、前日からの食事制限や内服薬の制限などの検査準備も1度で終わらせることができます。
平日午後からの検査や土曜日の検査も可能
胃カメラは食事制限のため午前中に検査を施行する施設が多いですが、当院は午後からの検査も可能ですし、お仕事やご家庭の都合上、土曜日しか検査を受けられない方でも検査を受けられる体制を整えておりますので、お気軽にご相談ください。
胃カメラ検査を受けるタイミング
前述の症状がある方はもちろん、「胃がん」の「早期発見・早期治療」には定期的(1年に1度)な胃カメラ検査が有効です。
「胃がん」は、早期のうちに発見できれば、腹部を開ける手術(開腹・腹腔鏡)を施行しなくても、内視鏡による切除で完治させることができます。しかし、「胃がん」の早期では自覚症状に乏しく、病気の進行に気づかないまま放置されてしまうケースが多いのが現状です。
「がん」を含めその他の生活習慣病のリスクは40歳を超えてきたころから多くなってきます。毎日安心した生活を送るためにも、1年に1度は定期的に胃カメラ検査を受けて健康状態を確認するようにしましょう。
胃カメラで診断できる病気
咽頭・喉頭・食道の病気
咽頭がん、喉頭がん、食道がん、食道ポリープ、食道裂孔へルニア、食道静脈瘤、逆流性食道炎、食道潰瘍、食道粘膜下腫瘍、食道憩室、食道カンジダ症(カンジダ性食道炎)、 食道乳頭腫、食道アカラシアなど
胃の病気
胃がん、胃ポリープ、胃静脈瘤、急性胃炎、慢性胃炎、胃潰瘍、胃粘膜萎縮、胃粘膜下腫瘍、迷入垂、胃憩室、胃アニサキス症、機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)、ヘリコバクター・ピロリ感染症
十二指腸の病気
Vater乳頭部がん、十二指腸潰瘍、十二指腸憩室、十二指腸炎、十二指腸腫瘍