下痢でお悩みの方へ
下痢気味、軟便気味だけど・・・お腹もいたくないし、血も出てないからと放置している方は少なくありません。ただし下痢は病気の1つのサインである可能性もあります。持続する下痢がある場合は放置せずまず一度専門の医師の診察や検査を受けられることをお勧めします。
「下痢」は基本的に消化不良により腸内で吸収されるべき水分が減少し、結果として水分を多く含んだ便が排泄される現象です。下痢を起こすと便に含まれる水分が多いだけではなく、トイレに行く回数も増えますし、いわゆるお腹が締め付けられるような痛みを伴うこともあります。
普段は問題ないのに緊張する場面や、トイレにすぐ行けないような電車の中、会議中に限り症状が出る方もいて困っている方も少なくありません。下痢はきちんとした対処にて改善が可能ですのでご相談にいらしてください。
急性下痢と慢性下痢
正常の排便回数は1日1~3回ほどが普通です。
急性の下痢の場合は暴飲暴食、風邪、牛乳摂取、水あたりなどが原因であれば一時的なもので特に心配はいりませんが、発熱を伴う下痢や海外渡航の後の下痢は細菌やウィルスによる感染性腸炎が原因であることがあり適切な処置が必要です。
慢性的な下痢の場合、1日の便の回数が数回、そして便が多少緩いだけでは、体質的に昔から胃腸が弱いほうであると考え、そのまま生活を送っている方も少なくありません。しかし、潰瘍性大腸炎、クローン病などの、腸内に慢性的な炎症疾患を抱え、それを知らずに過ごしている方もいて、症状がある日を境に急激に増悪し下血にて急いで病院に駆け込む方も少なくありません。またストレスや過重労働から心身のバランスが崩れ、自律神経系の乱れから起こる過敏性腸症候群も考えられますが、症状だけでの自己判断は危険です。
下痢を生じやすい消化器疾患
急性下痢(急激に発症し2週間以内に症状が落ち着く)
細菌毒素による感染性腸炎(腸炎ビブリオ、サルモネラ、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、病原性大腸菌、ボツリヌス、コレラ菌)
ウィルスによる感染性腸炎(ノロウィルス、ロタウィルス)
慢性下痢(4週間以上症状が持続する)
急性膵炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、大腸がん
検査方法
まず、急性の下痢の場合、感染性下痢かどうかの判断はまず発熱です。発熱がある場合(嘔気・嘔吐も伴う)は細菌やウィルスなどの感染を疑い便の培養検査、血液検査の炎症反応が高いかどうかを確認します。今の時代・・・コロナ感染の有無を発熱外来で確認する病院も多いと思います。
摂取した食事や、新たに内服した薬、既往の病気の増悪症状の確認も必須です。便の培養結果報告が出るまでには1週間ほどかかります。
慢性下痢の場合、「大腸がん」か「過敏性腸症候群」か「炎症性腸疾患」かの鑑別は大腸内視鏡検査が必要です。症状だけでは鑑別できませんし、今後の治療方法も違うので必ず大腸内視鏡検査を受けてください。
治療法
下痢による脱水症状がある場合は点滴による水分補給がまず大事です。
- 感染性下痢でない急性下痢の場合は整腸剤や消化剤などを処方し腸内の安静を計るため消化の良い食事が必要です。
- 感染性の下痢が疑われる場合は感染性胃腸炎の治療
- 慢性下痢のの場合、「大腸がん」、「過敏性腸症候群」、「炎症性腸疾患」の治療が必要です。
当院では経験豊富な内視鏡や胃腸内科診療を専門とした医師が胃カメラ・大腸カメラ検査を施行し、腹部超音波検査、精度(解像度)の高いCT検査、MRI機器を備えています。また、泌尿器科、婦人科も併設しており他臓器の除外診断の検査も当院で完結することができますのでお気軽にご相談ください。
検査の際に病変を見つけたら、その場で組織を採って詳しく調べ(生検)たり、出血箇所の止血をしたり、腸内の安静を計るための入院設備も整えられています。
早期に発見し、早期に治療することができれば、体への負担が少ない治療で症状の改善を期待できます。