大腸憩室

大腸憩室とは

大腸憩室は大腸内の内圧により大腸の壁が弱くなったところがくぼみ袋状に外側に突出したものです。“皮膚のしわ”みたいなもので歳をとると、どなたにもできるものですので「大腸憩室」のみでは無症状であり心配いりません。
しかし憩室出血を起こすと下血を呈し、憩室炎を呈すると発熱、腹痛を起こします。近年の食生活の欧米化や高齢化社会に伴って憩室炎や憩室出血などの大腸憩室疾患が増加しています。

大腸憩室の原因

主な原因は大腸の中の圧力が加齢により弱くなった腸の壁を押したためです。

大腸憩室の症状

大腸憩室炎

大腸憩室だけでは無症状なことが多いですが、憩室に感染や虚血変化が起こることで、炎症が起きると大腸憩室炎を呈し、発熱、腹痛、時には血便も呈します。
大腸憩室を持っている人の約5%に起きると言われています。
炎症が強くなり憩室に穴が開いてしまうと(穿孔)腹膜炎を起こすことも強い腹痛を呈しることもあります。

大腸憩室出血

大腸憩室だけでは無症状なことが多いですが、深堀された憩室にある血管が破れるとその部位から出血し血便が出ます。中高年以降の人に多い病気です。

大腸憩室の検査・診断方法

大腸憩室の検査

大腸憩室炎の検査・診断

腹部CT検査が診断に有効です。腹痛を起こす他臓器の疾患がないかを調べるために腹部超音波(エコー)検査や婦人科、泌尿器科の検査を行うこともあります。

大腸憩室炎と似た疾患

急性虫垂炎、感染性腸炎、炎症性腸疾患、大腸がん、尿路結石、女性であれば異所性妊娠や卵管炎

大腸憩室出血の検査・診断

大腸憩室が多発している症例では、大腸カメラにて出血している憩室を探すことは容易なことではありません。また大腸憩室出血以外による血便の原因がないかを確認することも重要です。腹骨盤部血管ダイナミック造影CT検査や腹部血管造影検査は大腸カメラではわからない憩室出血部位を探す場合もあります。

大腸カメラ検査について

大腸憩室の治療法

大腸憩室炎の治療

症状が軽度の場合は消化の良い食事をしながら内服の抗生剤で改善することもありますが、症状が強い場合は基本入院の上、腸管内の安静を計るため禁食+補液に加え抗生剤の点滴で炎症を鎮めます。適切な治療を施行すれば数日で改善されます。
無理して入院せず、食事をしながらの安静では治癒や症状が無くなるまでに時間がかかる場合やまれに憩室に穴が開いてしまうと(穿孔)腹膜炎を起こし緊急手術になることもあります。

大腸憩室出血の治療

大腸カメラで出血している憩室が確認できた場合はその憩室部にクリップをかけて、憩室を閉じ血を止めることができます。出血部位がわからない場合やクリッピング止血で血が止まらない場合には腹部血管造影検査を施行し出血している憩室の近くの動脈に塞栓物質を注入し止血する方法もあります。それでも出血が止まらなく全身状態の悪化が考えられる場合は憩室部位の腸管切除を施行する必要もあります。
当院では経験豊富な内視鏡や胃腸科診療を専門とした医師が胃カメラを施行し、また腹部超音波検査、精度(解像度)の高いCT検査、MRI機器を備えています。泌尿器科、婦人科も併設しており他臓器の除外診断の検査も当院で完結することができますのでお気軽にご相談ください。
検査の際に病変を見つけたら、速やかに治療します。腸内の安静を計るための入院設備も整えられています。
早期に発見し、早期に治療することができれば、体への負担が少ない治療で症状の改善を期待できます。